1. コンマの有無で「何」が変わるのか?
英語の学習者がよくひっかかるのが、関係代名詞の直前にある「コンマ(,)」の有無です。日本の学校では、コンマなしを「制限用法」、コンマありを「非制限用法(または継続用法)」と習いますが、用語が硬すぎて実感が湧きにくいですよね。
実は、コンマたった一つで、文が伝える「真のメッセージ」は真逆になってしまうことすらあるのです。まずは次の2つの文を見比べてみましょう。
【A】コンマなし(制限用法)
He has two sons who become doctors.
【B】コンマあり(非制限用法)
He has two sons, who become doctors.
Aは「医者になった息子が2人いる」、Bは「彼には息子が2人いて、その2人は医者になった」と訳されます。では、この父親には、一体何人の息子がいるのでしょうか?
・【A】の文では、息子は「2人以上(おそらく3人以上)」います。医者になったのが2人いるだけで、医者にならなかった息子がいる可能性があります。
・【B】の文では、息子は「たった2人だけ」です。そして、その2人ともが医者になった、という追加情報を述べています。
2. 制限用法(コンマなし)の役割:絞り込み
コンマがない関係代名詞は、その名の通り「先行詞を制限(限定)」します。たくさんいる選択肢の中から、「どれ?」と聞かれたときに「〇〇であるヤツだよ」と特定(ズームイン)する役割を持っています。
例えば、「I like the students who study hard.(一生懸命勉強する生徒が好きだ)」と言った場合、学校全体(たくさんいる生徒)の中から、「一生懸命勉強する生徒」だけにスコープを絞り込んでいます。裏を返せば、「勉強しない生徒は好きではない」というニュアンスを含んでいます。
3. 非制限用法(コンマあり)の役割:追加説明
一方で、コンマがある関係代名詞は、対象を絞り込む必要がありません。すでに「これ(この人)」と特定できているものに対して、「ちなみに、こんな追加情報がありますよ」と付け足す(補足する)役割を持っています。
例えば、「My father, who is 60 years old, likes traveling.」のように、父親は(基本的には)この世に一人しかいないため、「60歳の父親」と絞り込む必要はありません。「私の父(あ、ちなみに60歳なんだけどね)は旅行が好きだ」というニュアンスになります。
| 特徴 | 制限用法(コンマなし) | 非制限用法(コンマあり) |
|---|---|---|
| 目的 | 多数ある中から「どれか」を特定する | すでに特定されたものに追加説明を加える |
| 関係代名詞 that | 使える | 使えない(「, that」は不可) |
| 話し手の意識 | 「〇〇な~」とひとくくりで言いたい | 「~です。ところでそれは…」と区切りたい |